【独学】2級建築士試験、合格するために使ったもの全てと総費用 -学科編-
「2級建築士は独学で受験する!」
そう決めて、受験料18,500円(たけェ!!)を支払い、次にやったことは『テキストや問題集の購入』です。
「法令集と過去問は絶対に必要だとして、それだけで良いのか?」と思いながら、書店に向かったのを覚えています。
やっぱり某有名資格学校のものが良い?
参考書は必要?
過去問を何度も解くだけで良いの?
結構悩みました。(1週間くらい悩みました、無駄な時間だった…)
失敗したくないし、一冊3000円前後もします。
独学にした大きな理由が『安く済ませたい』だったので、「ここで間違えて新たに買い足さないようにしなければ」と思い、慎重に検討しました。
この記事を見てくださる方の多くは、独学を検討していると思います。
今回は、令和3年2級建築士試験を独学合格するために使ったものを、テキスト・サイト・文房具、その全てと総費用を紹介したいと思います。今回は学科編です。
独学で学科合格するために使ったもの
まずはざっと一覧です。
書籍は4冊。そのほかにネットの活用についてと、文房具一式を紹介します。
では、1つずつ見ていきましょう。
建築基準関係法令集 TAC【必須】
試験で唯一持ち込みが許可されているのが法令集です。
さまざまな出版社から発売されていますが、僕が使ったのはTAC出版のもの。
TACの法令集にした理由は大きく2つ。
1. 建築基準法&建築士法とその他関連法規がセパレートのため、線引きがしやすい
2. 公式サイトで無料公開されている『2級建築士受験用線引き集』が機能的
法令集への書き込みの多くは、建築基準法と建築士法に集中していて、日々の勉強は単元ごとに分けて取り組むことが多く、その他関連法規は見ない日も多くありました。
そして、法令集への書き込みは1度で終わることはなく、認められた範囲で記号や線を駆使し、勉強期間中に何度もアップデートを行います。
小回りの効きやすさと書き込みのしやすさは重要な要素です。
TACの法令集は、勉強期間中の利便性を最大限考慮して作られたものだと思います。
計画・法規の試験は3時間(法規にかけられる時間は約2時間)で終わってしまいますが、そのための勉強時間は何十倍もの量になりますから。
また、試験当日に冊子が分かれていることによる不便さは全く感じませんでした。
これはもう慣れですね。
法令集なので、どの出版社も内容は同じです。違いは本そのものにあります。
・冊子の大きさ
・紙の厚さ
・縦書きor横書き
・2段組or1段組
・2色刷りor単色
・セパレートor否か
実際に書店で見比べて、線引きのしやすさや法令集を開いた時の検索性の良さをイメージし、購入する一冊を決めれば良いと思います。
TACの法令集に関しては、こちらの公式ページが参考になります。
『2級建築士受験用線引き集』もありますので、法令集の選定に悩んでいる方は、是非一度見てみてください。
余談ですが、実務では井上書院の黄色本を使っています。
コンパクトでデスクを占領せず、告示も一冊にまとまっているので、使い勝手が良いです。
2級建築士試験学科 ポイント整理と確認問題【最重要】
最初に買うべき参考書であり、最後まで使った参考書です。
試験の全体像を把握でき、最頻出の内容がコンパクトにまとまっています。
まず、暗記がメインとなる『計画、構造(一般構造・建築材料)、施工』に関しては、要点整理の内容を100%理解・暗記することに徹しました。
具体的なインプットの方法には、テレビにも多数出演されている、東大主席弁護士山口真由さんの『7回読み勉強法』を実践させてもらいました。
体験談は後日別記事として書きたいと思っています。
そして、理解が重要な『法規・構造力学(計算問題)』に関しては、要点整理は流し読み程度で済ませ、Youtubeにある講義動画を視聴してから、該当分野の確認問題に取り組みました。
また、後述の『2級建築士試験学科 厳選問題集500+100』も同時にこなし、自力で全問正解できるまで繰り返しました。
こちらの記事で、活用したYoutubeチャンネルについて書いています。
designdevelopment.hatenablog.com
最後に、本格的に問題集や過去問に取り掛かると、新しく覚えるべき事柄がいくつか出てきます。
覚えられるか不安な時はこの本に戻り、余白に内容を新たに書き留め、情報が散らばらないように整理することを意識しました。
試験期間中、最も使い込んだ本です。
2級建築士試験学科 厳選問題集500+100【最重要】
前述の『2級建築士試験学科 ポイント整理と確認問題』と合わせ、2級建築士試験の勉強では最重要の書籍です。
分野ごとに頻出の過去問がまとめられていて、体系的なアウトプットに取り組むことができます。
この本は結構分厚くて、そのままでは使いにくいです。
そこで、カッターを用意して科目ごとに分解してしまいます。
本を開き、真っ直ぐカッターを入れ、最初と最後のページからバラバラになりやすいのでテープで補強します
こんな感じ。
使いやすいのでおすすめです。(試験後にメルカリに出品することは諦めましょう!!)
僕の場合は
計画、構造(一般構造・建築材料)、施工は、時間的余裕のある日に一気にこなしました。
法規と構造力学(計算問題)は、時間的余裕がない日でも毎日欠かさずに最低1題ずつは取り組んでいました。
2級の学科試験に関しては、『ポイント整理と確認問題』と『厳選問題集500+100』にある内容を100%理解・暗記できたら、本番で合格ライン(60/100点)に余裕で到達可能だと思います。(実際に僕がそうでした)
あまり手を広げすぎても良いことはありません。一冊決めたらそれに集中してリソースを注ぎ込みましょう。
建築士!勉強ナビ 2級建築士WEB問題集
サイト内にある一問一答形式のWEB問題集が優れもので、手軽に知識のチェックができます。
スマホにも対応してます。
日々の生活の中で、常に机に向かって勉強時間を確保できる訳ではありません。
設計事務所に勤めている以上は、勉強時間の確保が大きな課題だと思います
移動時間・寝る前・お昼休みなどを利用し、『既に学習した分野の知識の定着』のために、問題を解いていました。
僕の場合は、新しく学習した分野の問題を、必ず翌日の隙間時間で解き、更に1週間後にもう1度解くようにしました。
有名な『エビングハウスの忘却曲線』によると、人は新たに記憶したことの74%を1日以内に忘れ、77%を1週間以内に忘れてしまうそうです。
記憶の定着に反復は重要なので、解けなくてもガッカリせず、悩んだらすぐに解答に飛び、量をこなすよう意識しました。
2級建築士試験学科 過去問スーパー7
最後の仕上げ。(リンク先は令和3年のものになります)
7年分やれば十分です。
休日は、実際の試験時間と同じタイムスケジュールで、1日1年分をこなします。
まとまった時間が取れない平日は、『計画60分・法規120分・構造90分・施工90分』と科目ごとに時間制限を設け、3〜4日で1年分をこなすようにしました。
時期としては、試験約1ヶ月前から2週間前まで。
間違った問題はチェックしておき、残り2週間で間違えた法規と計算問題を中心に解き直しました。
こちらもそのままの使用では分厚すぎるため、バラバラ解体。
薄くなるので試験問題と解説どちらもホチキスで留めています。
後は、年次ごとに散らばらないようにクリップでまとめていました。
紹介した市販の参考書と問題集は『市販のものでは優れている』のですが、やっぱり誌面の都合上か、写真や絵での説明が少ないです。
実務経験が豊富だと、文字で見ただけで理解が進むでしょうが、2級建築士試験を受験される方に、そのような人は多くないと思います。
そんな時はGoogle先生です。
参考書の言葉が理解できないときは、躊躇わずに検索にかけましょう。
写真解説付きの資料集的な書籍も多数ありますが、『独学している以上は安く済ませる』がテーマだったのでケチることにしました。
1つ、僕がやった検索のやり方を紹介します。
『ミカオ建築館』というブログがあります。
東京大学・大学院修了、現在は東京家政学院大学生活デザイン学科教授のすごい先生です。
本名の原口秀明名義で書籍も多数出版されており、ブログでは『建築士試験に役立つ内容を中心に、ご自身のイラスト付きでわかりやすく解説されています』
イラスト付き解説が理解を助けてくれます。本当にわかりやすかったです。
ただ、このブログにも弱点があって、ブログ内検索ができないんです。(惜しい!!)
そこでGoogleを使います。
例えば、隅肉溶接についてもっと詳しい解説が欲しいと思ったら場合は、『ミカオ 隅肉溶接』とキーワードを入れて、画像での検索にかけましょう。
すると、ミカオ建築館の隅肉溶接に関連するイラストがずらっと表示されます。
このように、用語のイラスト解説が欲しい場合は、『ミカオ 〇〇』で画像検索をかけると、簡単に目的のページにアクセスできるので、おすすめの方法です。
計画や施工の分野では特に、Google先生にお世話になりました。
『わからない言葉が出たら直ぐ検索!!』を意識してどんどん勉強を進めましょう
特に、ミカオさんは僕にとっては神のような存在です。本当にありがとうございました。
他に、『簡単に機器の実物を見たい』ときは、『機器名称を画像検索にかけるだけ』で良いと思います。
(ラチェットってなに?親杭横矢板壁ってなに?のような場合です)
Youtube
2021年現在、10年前では考えられないくらい多くのYoutuberがいらっしゃいます。
ニッチなジャンルに特化したチャンネルも数多く存在し、建築系Youtuberもその一つでしょう。
僕自身も独学を決めて勉強を開始した頃、ネットで多くの情報を集めました。
その中で所謂、建築士試験に役立つYoutubeチャンネルのクオリティの高さに気づき、多く助けられたと感じました。
具体的に試聴させてもらったYoutubeチャンネルはこちらの記事で紹介しています。
designdevelopment.hatenablog.com
こちらで紹介している建築系Youtuberのコンテンツは、「本当にこれが無料で良いの!?」と感じるくらい充実しています。独学者は絶対に活用すべきだと思います。超おすすめ。
文房具いろいろ
HBの鉛筆と消しゴム【試験本番のマークシート用】
実際に使ったものです。
試験本番はマークシートなので、高校生時代を思い出して鉛筆にしました。
慣れるために、勉強中もシャープペンシルは使わず、鉛筆を使っていました。
(実際はシャープペンシルで事足ります。鉛筆にした理由は本当になんとなくです。)
消しゴムは試験用に新調し、消しかすが出にくいタイプのものを使いました。
ペンと消しゴムは本当に好みなので、使いやすいものを選んでください。
色鉛筆とフリクションマーカー【法令集への書き込み用】
法令集への書き込みに関しては、TACの線引き集を参考にしたので、それに必要なものを少しアレンジしました。
TACの線引き集コンセプトはこちら↓
https://bookstore.tac-school.co.jp/kenchiku2022/pdf/concept.pdf
線引きコンセプト集では、ボールペンを推奨していますが、色鉛筆を使うことにしました。
色鉛筆は元々持っていたもので、実際に使用した色は、色鉛筆とフリクションどちらも「赤、青、オレンジ」の3色です。
色鉛筆の良いところは、線の濃淡と太さを自分で決められることで、『条文の中でも特に正答を示している場所』や『見落としがちな文言』など、注目点を濃くマーキングしていき、自分なりの検索性向上を目指して、カスタマイズを行なっていました。
紙【問題集・過去問を解くときに使用】
問題集は何度も取り組みます。
そのため、途中計算や選択肢の排除などは、問題集に直に書き込めません。解くとき用の紙を別で買いました。
本当になんでも良いです。有り体に言うと、チラシの裏でも良いと思っています。
資格学校の模擬試験を受ける必要はある?
結論から言うと、学科の試験に関しては必要ないと断言します。
僕は模試を受けませんでした。
やや不安もあったのは事実ですが、いざ試験が始まるとごく一般的なマークシート方式の試験で、想定の範囲内でした。
大卒の方は『大学入試センター試験』をイメージしてみてください。全く一緒です。
資格学校の今年の予想問題に触れられることや、今の実力を測れることは良いことかもしれません。
ですが、そもそも建築士試験は約7割が過去問題から出題される試験です。
そのため、そんなことより手元の過去問の頻出項目を完全に解けるようにする方が合格に近づくと考えます。(安く済ませたかったのが本音)
でもやっぱり不安だと思う方は、受けてみても良いと思います。
独学で2級建築士の学科の試験を受けるのに、いくらかかったの?
では、最後に総額を発表します。(定価+消費税込みの価格)
『14,797円』でした。
内訳は以下の通りです。
・建築基準関係法令集 【3,388円】
・ポイント整理と確認問題 【3,410円】
・厳選問題集500+100 【3,190円】
・過去問スーパー7 【3,080円】
・鉛筆 1ダース 【528円】
・消しゴム 1個 【110円】
・色鉛筆 赤 青 オレンジ 各1本 【156円】
・マーカー 赤 青 オレンジ 各1本 【330円】
・プロジェクトペーパー 1冊 【605円】
高いでしょうか?安いでしょうか?
ちなみに、某S資格学院の学科合格必勝コースは、ホームページを見ると638,000円(たけェ!!)でした。
資格学校の1/40の額で済ませ、実際に合格できたので、独学にしておいて本当に良かったと感じています。
おわりに
いかがだったでしょうか。
紹介した『ポイント整理と確認問題』と『厳選問題集500+100』は、資格学校のノウハウを基に頻出項目が整理されているので、特におすすめです。
僕の場合は、『この2冊を中心に、足りないところをネットで補い、過去問は試験本番のつもりで解く』という流れで勉強を進め、学科試験の得点は97/100点(計画25 法規25 構造24 施工23)でした。
また、記事内にAmazonのリンクを載せていますが、価格が変動することがあるので、実際に書店に行ったり、リンクを踏まずに自ら検索をかけて安いのを探してください。
これから勉強にする方の参考になれば幸いです。